歌の魅力・歌詞考察

青空のゆくえ 歌詞の意味・魅力考察 浜田省吾

tsumakawa

青空のゆくえ

青空のゆくえ」は、省吾さんのアルバムの中で傑作との呼び声も高く、省吾さん自身も「あまりにも出来が良かった為にその後のアルバム作成に思い悩んだ」と発言している1996年発売のアルバム「青空の扉」のラストを飾る11曲目に収録されている楽曲です。

青空の扉」は、1990年代のバブル崩壊後の混乱やソ連崩壊による国際情勢の混乱、ノストラダムスの大予言に代表される1999年に向けた陰鬱な空気を吹き飛ばすようなラブソングのみで構成されている点が特徴的なアルバムです。

省吾さんの特徴として、魅力的なラブソングの存在がありますが、正にその魅力を詰め込んだようなアルバムです。

アルバムタイトルは「新しい恋に落ちる瞬間」を意味しており、新しい恋に落ち、新たな関係へと踏み出す瞬間を「青空への扉を開ける瞬間」と表現しています。

省吾さんの言葉通り素晴らしい曲ばかりであることは言うまでもないのですが、その中にあって、私を含むファンの心を掴んで離さない名曲となっています。

正にアルバムのタイトル曲と言える歌詞であり、ある程度の人生経験を経て多くの痛みや喜びを知り、自分の感情や人との関係性を客観的に見つめる視点を持っている大人の恋愛をテーマとしており、年齢を重ねるごとに深く心に響く歌詞は人生を通して何度でも聴きたくなる魅力に溢れています。

歌詞の概要

https://www.uta-net.com/song/48987/

青空のゆくえ」では、好きというだけで一緒になることを選択できた若い頃と違い、恋愛において相手を傷つけることの辛さや傷つけられる悲しみを経験として知っているからこそ予防線を張って相手に気持ちを踏み出せずにいる。そんな主人公の姿が描かれます。

同じく「青空の扉」に収録されている「紫陽花の歌」に登場する「全てを与えて何も求めない君」のような、好き/嫌いなどと安易な結論を出すことを避け、互いの人生に深く介入し過ぎない距離感で生きることを無意識のうちに覚えてしまっていることが伺えます。

砂浜の足跡が消えていくように、一時の恋の魔法が解けてしまったとしても、その別れの辛さや悲しみを予期しながらもどうしようもなく相手に惹かれていく様子を表している歌詞が魅力であり、それは正に「恋に落ちる瞬間」であり、「青空への扉を開ける瞬間」なのだと思います。

かつて20代の若い恋人達の恋をアルバム「Sand castle」で表現し、「恋は魔法さ」において一目惚れをテーマととしていた頃から時が経ち、恋愛が脆く崩れるものであることと、その瞬間が訪れることを嫌というほど知っていても尚恋愛に踏み出すことを選ぶところに、恋愛の奥深さや本気度が表れているような気がします。

大人になるにつれ、良くも悪くも自分の人生の行く末が見えてきます。

将来が見えないことが不安な若い頃とは違い、かつて思い描いていた場所に辿り着けないことが見えてしまうこともまた同じように辛く悲しいことです。

できることなら、一番幸せで、その先にある苦悩を考えずに済む恋に落ちた瞬間で時を止めてしまいたい。

そう願いつつも、その裏では悲しみや苦労とは無縁な場所で真の恋愛には発展し得ないこと、幸福と苦悩は表裏一体の不可分なものであることを理解しているように感じます。

砂浜の足跡が波にさらわれ消えていくように、二人の関係性の形が変わり離れる日が来るとしても共に歩む。

そんな覚悟と相手への想いの強さを感じます。

別れが来ることを覚悟しながらも、共に過ごす時間を大切に人生を生きるというメッセージは、前作である「その永遠の一秒に」のラストに収録されている「初秋」と通じるものがあります。

「永遠の一秒前」という部分も前作のアルバムタイトルを彷彿とさせ、それらの楽曲やアルバムを経て今作の「青空の扉」が生み出されたことを感じます。

歌詞の魅力考察

青空のゆくえ」とは恋の行く末をテーマとした歌であり、ある程度の人生経験を経て恋愛には明るい面だけではなく辛く苦しい面もあること、いつか終わりが来ることを知りながら、それでもどうしようもなく相手に惹かれていく主人公の姿が描かれます。

若い頃の無邪気な勢いや燃えるような感情に身を任せた恋愛ではなく、恋が魔法でありいつか解けること、痛みを伴うことを経験から知っているからこその諦めや達観からは悲観的な印象さえ受けます。

しかしその一方で、恋愛に多くの苦悩や葛藤、辛さがあることを知っていても尚相手との関係に踏み出す覚悟と愛情も感じ取ることができます。

省吾さんの他の楽曲がそうであるように、年齢を重ねるごとに歌詞のメッセージがより一層心に響くように感じられる点が魅力であり、一般的な知名度はなくとも確実に省吾さんを代表する楽曲と呼ぶに相応しいメッセージと魅力に溢れているため、性別や年代を問わず聴き続けて欲しい名曲です。

最後に

最後までお読み下さりありがとうございます。

青空のゆくえ」は私自身省吾さんの楽曲の中でも特に好きな名曲であり、ファンの中でも長年にわたって愛されています。

ON THE ROAD 2022 Welcome Back to THE ROCK SHOW “EVE”」においてセットリストに組み込まれているという情報もあり、長年にわたってファンからも愛されている名曲を生で聴くチャンスとなっています。

また、「青空の扉」は往年のファンには勿論、ライトリスナーの方にも聴きやすい省吾さんの魅力が詰まったアルバムとなっていますので、気になる方は是非聴いてみて下さい。

以下にアルバム情報を載せておきますので、購入する際の参考として頂けると嬉しいです。

ABOUT ME
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胎教の時から浜田省吾を聴き続け、サングラスをかけて生まれた28歳。省吾さんの魅力を伝えるべくブログ執筆中。
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