歌の魅力・歌詞考察

初秋 歌詞の意味・魅力考察 浜田省吾

tsumakawa

初秋

初秋」は、1993年9月6日発売の省吾さん14枚目のアルバム『その永遠の一秒に 〜The Moment Of The Moment〜』のラストとなる9曲目に収録され、後に2003年9月26日発売のセルフカバーアルバム『初秋』のタイトルとしても登場する楽曲です。

人生における初秋とも言える40〜50代を迎えた主人公の視点から綴られる歌詞を通じて、愛する人との別れや悲しみ、人生における時間の使い方について様々なことを考えるきっかけをくれる名曲です。

「初秋」が初めて収録されたアルバム『その永遠の一秒に』が発表された1993年頃は、省吾さんにとって精神的にダウンしていた時期でもあります。

アルバム発表の前年1992年は「悲しみは雪のように」が大ヒットし、シングルチャートの売上1位を8週間連続で飾るなど、世間的な認知が一気に広まった年でした。

一方で、省吾さん自身は精神的な苦悩を抱えていた時期でもあり、その時期を経て発表されたアルバム『その永遠の一秒に』には、全体を通じて内省的で重厚な雰囲気が感じられます。

そんなアルバムの最後を飾る「初秋」は、誰しもがいつか向き合うこととなる「永遠の別れ」をテーマとしており、家族や恋人への愛、別れの悲しみや切なさ、それらと向き合い一瞬一瞬の時間を丁寧に生きる大切さと向き合う、哀愁のある楽曲となっています。

歌詞概要

https://www.uta-net.com/song/24158/

初秋」では、遠く離れた国で起こっている戦争、その最中で大切な人を失った男性の姿から、いつか愛する人との別れが来ることに改めて気付かされ、愛することの意味を考える主人公の姿が描かれます。

遠い国で起こっている戦争であっても、そこにある別れや苦しみは他人事ではなく、当然のこととしていつか自分自身にも降りかかる、という点は1990年発売の前作である『誰がために鐘は鳴る』に込められたメッセージと同様のものを感じます。

誰もが心の奥底では自覚していながら、普段直視することのない事実。

物事には終わりがあり、必ず別れが訪れること。

その事実を自覚した時、目の前にいる愛する人との別れを考えずにはいられない。

いつか訪れる別れの痛みと苦しみから、愛することに躊躇いを感じている主人公から、人生における愛情の大きさを感じ取れます。

どんなに愛する人と出会っても、いつか必ず終わりが来る。

その事実を知りながらも、限られた時間を共に過ごし暖かな関係を築くことが大切であり、永遠に続かないからこそ今この瞬間を大切に生きるべき、というメッセージはアルバムタイトルである『その永遠の一秒』を彷彿とさせます。

また、「手に入れたものをいつか全て失うとしても前に進む」という部分からは「家路」と共通するメッセージも感じられます。

別れの瞬間が目前に迫った時、笑顔でいることができるように、別れた後に寂しさや悲しみで押しつぶされてしまわないように、限りある時間で沢山の愛を注ぎ、後悔のないよう生きようと思わせてくれる歌詞が魅力です。

例え別れが訪れても、共に過ごした満ち足りた時間と、愛されていた実感があればそれを持って生きていける。

だからこそ、終わりの瞬間を恐れて立ち止まるのではなく、終わりに向かってその一瞬一瞬を大切に生きよう。

そんなメッセージを強く感じます。

大袈裟なことではなく、自分の名前を呼ぶ声や触れ合う時のぬくもり、そんな日常の些細な仕草や出来事が愛しく感じられ、相手の存在そのものが何よりも大切なものであることを思い出させてくれる歌詞から、常日頃一緒にいることが当たり前となっていればいるほど見落としがちになる、相手の存在そのものの大切さや大きさを改めて考えさせられます。

別れを意識して初めて見えてくる相手の大切さや愛しさを表現したとても深く繊細な歌詞が魅力であり、世代を問わず聴いて欲しい名曲です。

歌詞の魅力考察

初秋」は、聞く度に惹きつけられる歌詞と楽曲の持つメッセージ性が魅力であり、限られた時間の中で、大切な人との時間をどのように過ごすか深く考えさせられる名曲です。

私自身とても好きな曲であり、日々当たり前に過ごしている人生の一瞬一瞬を大切にそして丁寧に生きようと思わせてくれる点がとても気に入っています。

人生においては、自分にとって大切な人ほど身近で、その本当の価値や大切さに気付かないことが多くあります。

そして、失った時にその大きさや大切さに気づいても、やり直すことはできません。

いつも側にあるだけにその大切さに気づかず、終わりの瞬間を意識して初めてその本当の価値に気づくとはなんとも皮肉ですが、そうであるからこそ常日頃いつか別れが訪れることから目を逸らさず、共に過ごす時間を大切に過ごすべきだと思います。

人生における初秋とも言える40代から50代を主人公とするこの曲がテーマとする「永遠の別れ」は、遅かれ早かれ全ての人に訪れるものです。

その意味で、全ての人に聴いてそのメッセージを感じ取って欲しい名曲です。

私も、最初にこの「初秋」を聴いたのは中学生か高校生だったと記憶していますが、幼いながらに冒頭の歌詞にハッとさせられたことを覚えています。

それから時間が経ち社会人となって家族を持った今でも、聴く度に自分と家族の人生、そしていつか訪れる終わりについて考えずにはいられません。

また、聴くたびに今日今この瞬間から1つ1つの出会いとその時々の時間を大切にしようと強く思わせてくれます。

既にお好きな方もまだ聴いたことのない方も是非一度聴いて自分なりのメッセージを感じて頂ければと思います。

最後に

最後までお読み下さりありがとうございます。

この「初秋」は決して一般的に有名な曲ではありませんが、そのストーリーやメッセージ性から一度聴くと惹き込まれる魅力に溢れています。

決して派手ではなくとも、人生の指針となる名曲が沢山あることが省吾さんの魅力の一つであり、多くのファンに世代を超えて長年愛されている理由です。

他にも紹介していない数多くの名曲があるため、これからも引き続きご紹介していきます。

「初秋」を含むその他おすすめのバラードについては、以下記事にてまとめていますので、良ければあわせてご覧下さい。

中でも、ある程度の人生経験を経た大人の恋愛をテーマとしている「青空のゆくえ」は特に聴いてほしいおススメの名曲となっていますので、是非以下記事を読んで実際に楽曲を聴いて頂ければと思います。

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胎教の時から浜田省吾を聴き続け、サングラスをかけて生まれた28歳。省吾さんの魅力を伝えるべくブログ執筆中。
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