アルバム紹介

浜田省吾 ラブソング バラードアルバム SAND CASTLE

tsumakawa

SAND CASTLE

SAND CASTLE」は1983年に発売された省吾さん初のセルフカバーアルバムであり、「20代の若い恋人達の甘く切ない恋の物語」をテーマとするバラードセレクションとなっています。

かつて所属していたホリプロを離れ、個人事務所「ロード&スカイ」の設立後初めて発表したアルバムであり、ロックだけではない省吾さんのラブソング・バラードの魅力を存分に感じられる名盤です。

アルバムのタイトルである「SAND CASTLE」は文字通り「砂の城」を意味しており、恋愛や愛情における無常感や儚さを表すものとなっています。

「砂の城」というモチーフは省吾さんの他の楽曲においても度々用いられており、代表的なものでは「PROMISED LAND」収録の「さよならスウィート・ホーム」や、アルバム「J.BOY」収録の「SWEET LITTLE DARLIN’」などが挙げられます。

人生や恋愛における幸福な時間や充実した瞬間だけでなく、砂の城のように脆く儚く崩れ落ちる、そんな瞬間や経験をテーマとして歌詞に落とし込んでおり、聴き手の心に深く響くメッセージが特徴的な省吾さんのラブソング・バラードの魅力とそのルーツを感じ取ることができます。

往年の省吾さんファンにからの人気はかなり高く、これから聴く方にもおすすめの作品となりますので、ぜひその魅力を知ってもらえると嬉しいです。

収録曲

1.君に会うまでは
2.君の微笑
3.散歩道
4.いつわりの日々 ​
5.愛という名のもとに ​
6.朝のシルエット
7.丘の上の愛 ​
8.片想い
9.陽のあたる場所
10.愛しい人へ

楽曲魅力・考察

君に会うまでは

https://www.uta-net.com/song/14676/

君に会うまでは」は1977年に発表された2枚目のアルバム「LOVE TRAIN」収録曲であり、初々しい恋愛の描写と、そんな恋愛を通じて成長する主人公の姿が印象的な一曲です。

恋人のデートの帰り道、最終電車が過ぎた後の二人の優しく美しい描写と、歌詞のストーリーに込められたメッセージが聴く人の胸に響きます。

20代の若い恋人達の甘く切ない恋の物語」というアルバムテーマに相応しい楽曲であり、オリジナル版である「LOVE TRAIN」とは異なるアレンジとヴォーカルが心地よく、是非聴き比べて頂きたい仕上がりとなっています。

君の微笑

https://www.uta-net.com/song/14675/

こちらも「君に会うまでは」と同様「LOVE TRAIN」収録のバラードであり、省吾さんのラブソングの特徴でもある恋愛における幸福と影を落とし込んだ歌詞とストーリーが魅力です。

歌詞前半では恋人との出会いと幸福な生活が描かれ、後半ではそんな二人の関係性が移り変わることが暗示されます。

幸福が永遠には続かないこと、人生を共にし相手を幸せにするためには、恋愛感情や優しさだけでは足りないこともある。

そんな、ただ好きというだけで十分だった若い頃の恋愛とは違い、夢見るだけではなく現実と向き合い、生活していくことが求められる大人の恋愛への移り変わりが美しい音楽と歌詞で表現されており、一本の映画のような悲しくも美しいストーリーが胸に響く名曲となっています。

散歩道

https://www.uta-net.com/song/2184/

散歩道」は1978年発表の省吾さんの3枚目のアルバム「Illumination」収録曲です。

恋愛における葛藤、別れをテーマとするラブソングバラードであり、省吾さんのシンガーソングライターとしての魅力とルーツを感じられる、そんな一曲となっています。

アルバム「illumination」は、省吾さん自身が自らの方向性や伝えたいメッセージに思い悩み、そんな中で制作されたアルバムです。

そのため、ご本人の中で複雑な想いのある楽曲もある一方で、この「散歩道」のように、今の省吾さんの代名詞と言えるラブソングや深く心に響く普遍的であり個人の胸に訴えるメッセージ性とそのルーツ感じられる名曲があることが特徴です。

いつわりの日々

https://www.uta-net.com/song/693/

いつわりの日々」は、1979年5月に発表された省吾さん4枚目のアルバム「MIND SCREEN」の5曲目に収録されている楽曲で、結婚した男女の別れの物語をテーマとしています。

共に暮らしている夫婦の心が離れていく過程や、出会った頃と変わってしまった互いの心をリアルに歌詞のストーリーとして落とし込んでいる点が特徴的で、特に同じような経験をしたことのある方には大きく響く歌詞となっています。

互いに相手へ本心を隠していると言うよりは、どちらかというと「このままで良いのか」という葛藤を持ちながらも、自分自身の本心に向き合わずに日々を過ごしている、そんな姿が正にタイトルの「いつわりの日々」と重なります。

最初から別れを望む夫婦がいない一方、離れた方が互いの為になる、そんな避けられない別れも確かに存在するという、人生のリアルな側面を確かに切り取っています。

仕事、結婚、人生において、誰もが思うように望むまま幸福に生きられるわけではなく、時に予期せぬ苦労に見舞われたり、愛する人を失ったり、生活する中で互いに心が離れてしまうこともあります。

そして、それは誰の身にも起こり得ることであり、他人事でないからこそ、愛の終わりをテーマとする「いつわりの日々」のストーリーや言葉は聴く人の心に深く沁み入り、そこが大きな魅力となっています。

愛という名のもとに

https://www.uta-net.com/song/76/

愛という名のもとに」は1981年9月21日発表、省吾さん7枚目のアルバム「愛の世代の前に」3曲目に収録されている楽曲です。

男女の別れをテーマとしており、しっとりと心に深く沁みる歌詞とメロディが特徴の省吾さんらしい名曲であり、日々を生きる中で降り積もる違和感や理想とのギャップが大きくなり、それが無視できないほど大きくなった時、恋人やパートナーとの別れを選択した2人の物語が綴られます。

また「愛という名のもとに」というタイトルは、トレンディドラマ全盛の1992年に大ヒットを記録した同名ドラマのタイトルとしても知られており、省吾さんとそのファンにとって1つの大きな転機となった楽曲であり、悲しくセンチメンタルな歌詞でありながら、どこか温もりや優しさを感じる省吾さんらしいバラードです。

朝のシルエット

https://www.uta-net.com/song/7255/

朝のシルエット」は、1979年5月に発表された省吾さん4枚目のアルバム「MIND SCREEN」収録曲であり、「愛とは何か」という若者特有の悩みがテーマとなっています。

恋愛をして傷ついて打ちのめされて、それでも尚誰かを求めてしまう。

そんな自分自身の心の動きに違和感を覚えつつ、想いを止めることができない、そんな葛藤が感じられる歌詞が魅力です。

恋愛における痛みと幸福」は、省吾さんのラブソングにおいてよく用いられるテーマであり、愛の終わりとその痛みを知っているからこそ本当の意味で人に優しくすることができる、というメッセージが根底にあり、センチメンタルな中にも優しさを感じる歌詞と音楽が魅力です。

「20代の若い恋人達の甘く切ない恋の物語」をテーマとする本アルバム以外では、「多くの痛みと幸福を経験してきた大人が新しい恋に落ちる瞬間」をテーマとするアルバム「青空の扉」がオススメです。

丘の上の愛

https://www.uta-net.com/song/953/

丘の上の愛」は1980年10月21日に発売された浜田省吾6枚目のアルバム「Home Bound」の3曲目に収録されている楽曲であり、「愛とお金」をテーマとし、金銭的な豊かさを求める女性と貧しい学生である青年が描かれます。

聴き終わった後に一本の映画を観終えたような余韻に浸り、愛について思いを馳せたくなる名曲です。

本来愛は無料で手に入り、逆にいくらお金を積んでも買えないものですが、そんな至極当然でありながらいつの間にか見えなくなった事実を美しい音楽と詩によって突きつけてくる歌詞は、ファンの間でも人気が高く、省吾さんを代表する名バラードとして今でも尚聴き続けられています。

片想い

https://www.uta-net.com/song/1299/

片想い」は、1978年9月21日に発売された浜田省吾3枚目のアルバム「Illumination(イルミネーション)」3曲目に収録されている楽曲です。

1979年に「愛を眠らせて/片想い」としてシングルカットされ、その後もリメイクをしながら本作「SAND CASTLE」やベスト盤に度々収録されているファンの間でも人気の高い名曲です。

タイトルの通り「叶わぬ恋」をテーマとしており、フィクションとは思えないリアルな歌詞が魅力で、省吾さんの深く優しい声と相まって聴く度に心に響くバラードとなっています。

どれだけ恋焦がれても叶わない恋に苦しみ、いっそのこと忘れてしまいたいと願う主人公が描かれ、少年の恋の歌のようでありながら、大人の女性が愛を求める歌のようにも聞こえ、既婚者の結ばれない恋のようにも感じられる、聴く人の心に深く沁み入る歌詞とメッセージ性が色褪せない魅力を持つ名曲です。

陽のあたる場所

https://www.uta-net.com/song/3850/

陽のあたる場所」は、1981年3月に発売された浜田省吾12枚目のシングルで、不倫をテーマにしたバラードです。

寂しさから恋に落ちた二人の恋人の姿が描かれ、単なる幸せに満ちたラブソングではなくさまざまな事情や影が混在する複雑な恋愛模様をテーマとしている点が省吾さんらしい部分であり、「片想い」と同様省吾さんのラブソングを代表する名曲となっています。

自分が自分らしく本当の意味で自由で満たされていると感じることができる「陽のあたる場所」を探すことの大切さと温もりを感じられるメッセージが魅力であり、人生や恋愛に思い悩んだ時や気分が落ち込んだ時に聴きたくなる一曲です。

愛しい人へ

https://www.uta-net.com/song/5231/

愛しい人へ」は、1982年発表の浜田省吾8枚目のアルバム「PROMISED LAND〜約束の地」に収録されている楽曲であり、想いを寄せる相手への優しさに満ちたラブソングとなっています。

アルバム「PROMISED LAND」のジャケットは「FLAMMABLE」と書かれた核弾頭とその前に立つ省吾さんという構図になっており、反核や社会への想いが読み取れ、「マイホームタウン」や「僕と彼女と週末に」など、社会派ロックシンガーとしてのイメージが強いアルバムとなっています。

その中にあって、この「愛しい人へ」は優しく静かで真っ直ぐなラブソングであり、決して一般的な知名度はないものの、ファンの間で人気の高い隠れた名曲となっています。

恋愛や人生の辛さや葛藤を乗り越え、愛することの意味と優しさを知った主人公が静かに語りかけるような歌詞となっており、省吾さん初のバラードセレクションである「SAND CASTLE」ラストを飾るに相応しい名曲です。

最後に

最後までお読み下さりありがとうございます。

SAND CASTLE」は省吾さんの歴代アルバムの中でも上位に入る名曲揃いであり、省吾さんのラブソング・バラードの魅力が詰まった名盤です。

別記事でご紹介している、ラブソングをテーマとするアルバム「青空の扉」とはまた違った、内省的で優しさと深い洞察に満ちた名曲の数々は、これから省吾さんの楽曲を聴く方にもぜひオススメしたい内容となっています。

最後に、アルバム情報をご紹介していますので、ご紹介した名曲を聴いて、その世界に浸って頂けると嬉しいです。

ABOUT ME
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胎教の時から浜田省吾を聴き続け、サングラスをかけて生まれた28歳。省吾さんの魅力を伝えるべくブログ執筆中。
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