歌の魅力・歌詞考察

花火 歌詞の意味・魅力考察 浜田省吾

tsumakawa

花火

花火」は、2005年7月6日に発売された浜田省吾の16枚目のアルバム「My First Love」8曲目に収録されています。

よき父親になろうとするも、どうしても上手くいかなかった主人公をテーマとしており、哀愁の中に綺麗な花火の情景が浮かぶ、夏の夜に聴きたくなる楽曲です。

同アルバムに収録されている「I am a father」と対をなす楽曲となっており、是非とも併せて聴いてほしい内容となっています。

I am a father 歌詞の意味・魅力考察 浜田省吾

様々な人生や愛の形を、比喩的で詩的な歌詞と真っ直ぐなメッセージに乗せ、聴く人の心に届ける省吾さんの楽曲は何度でも聴きたくなる魅力に溢れており、人生について深く考えさせられる名曲となっています。

歌詞概要

https://www.uta-net.com/song/51513/

一見すると、娘と息子のいる幸せな父親。

それも、大人になる娘と思春期の息子の成長を心配しながらも喜んでいる。そんな父親の姿をテーマとしているようにも感じられます。

しかし、少しの気の迷いなのか、日常に疲れたのか、家族を置いて家を出た父親の姿が描かれます。

そして毎年夏に打ち上がる花火を節目に5年の月日が経ったことが明かされます。

時に「何もかもを投げ出し自分一人で生きていきたい」そんな気持ちを抱え家族と暮らし、ある時ふと家を出てしまった父親から、この楽曲のテーマとも言える愛情と寂しさを感じます。

家族への愛が尽きたわけではなく、寧ろ今でも変わらず愛している。

また、家族に対する責任を放棄したわけでもなく幸せになることを願いながら稼ぎを送り身を案じている。

だからこそ、自分でもなぜ家を出たのか明確な答えがないままでいる姿が想像でき、家族の父親として生きる一方、自分の人生を生きたいと願う1人の人間の葛藤が潜んでいるような歌詞が印象的です。

そして、家族の暮らす家を出てから出会った誰かと恋に落ち、自分の過去を打ち明ける主人公。

逆に言えば、辛い過去や格好悪い過去を曝け出せる相手が見つかったのかも知れません。

強く手を取りあい、河のほとりを歩く2人。

終盤の歌詞からは、相手を失うことを恐れて言い出せずにいた自分の過去を打ち明けた主人公を受け入れ、これから人生を共にすべく歩き出した2人の姿が浮かびます。

歌詞の魅力 考察

社会人として生き、家族ができ守るものが増えると、誰しもが色々なものを抱え込む反面、時折「全てを投げ出して生きたらどんな風だろう」と思うことがあるのだと思います。

生活は幸せで充実していても、どこか別の人生や生き方に惹かれる瞬間がある。

人生経験を重ねるにつれ、大なり小なり誰もが経験する感情や想いをストーリーに落とし込んだこの曲は、単なるラブソングとして愛や恋を歌ったものではなく、どこか悲しみや徒労感を含んでいて、ある意味とても省吾さんらしい曲ではないかと思います。

すぐに帰るつもりで家を出たその決断が人生を全く別の方向へ変えてしまった。

家族に変わらない愛情を持ちながらも自問自答と葛藤を繰り返しながら生きていく主人公が愛してくれる人の存在に出会う様子は、真っ直ぐな父親をテーマとした「I am a father」とは異なる父親像を描きながら、多くのリアリティを含んでいます。

最後に

最後までお読み下さりありがとうございます。

誰でも、ふとした瞬間にどこか遠くへ行きたくなったり、全ての人生をリセットして生きてみたいと思うことがあるのだと思います。

省吾さんの「花火」は、そんな衝動を行動に移してしまった父親のストーリーです。

周りから理解されなくとも、愛する人や家族を悲しませる結果となっても、自分の頭にふとした瞬間に様々な衝動や想いが湧き上がることがある。

「花火」は、生きる中で訪れるどうしても上手くいかない現実から離れ、取り返しのつかないことを知りながら家を出た主人公が、それを受け入れてくれる相手を見つけるストーリーです。

守るべきものがある方、愛する人がいる方に、是非その相手のことを想いながら夏の夜に大切に聴いて欲しい一曲です。

省吾さんの描く大人の恋の歌は、どこか悲しくそれでいて美しい不思議な魅力に溢れています。

アルバム「My First Love」には、「花火」の他にも魅力的な曲が多く収録されていおり「原点に戻りながらもまたひとつ新しいドアを開けた感じ」と省吾さんご本人が語る素晴らしいアルバムですので、気になる方は是非聴いてみてください。

ABOUT ME
tsumakawa
tsumakawa
胎教の時から浜田省吾を聴き続け、サングラスをかけて生まれた28歳。省吾さんの魅力を伝えるべくブログ執筆中。
記事URLをコピーしました