歌の魅力・歌詞考察

君が人生の時 歌詞の意味・魅力考察 浜田省吾

tsumakawa

君が人生の時

君が人生の時」は1979年に発売された浜田省吾5枚目のアルバムであり、同時にアルバムのラスト10曲目に収録されている楽曲です。

「君が人生の時(Time of your life)」は「君の人生の時」と同様の意味合いであり、瞬間瞬間の積み重ねが人生を作る、というメッセージを伝える名曲です。

タイトルを含め多くの解釈や聴く人それぞれの受け取り方ができる楽曲であり、詩的な表現や多くを語らない事により、幅広い意味合いを持たせている点が特徴であり、省吾さんらしさを感じます。

省吾さんの歌詞の特徴でもある、より少ない言葉がより多くの意味を表すという点ではヘミングウェイとの共通点も見られ、特に「君が人生の時」から時が経った1990年に発売されたアルバム「誰が為に鐘は鳴る」と実質的にアルバムの表題曲である「詩人の鐘」においてはヘミングウェイの影響や類似点を強く感じることができます。

聴く人に委ねられる解釈とその多様さが省吾さんの詩の魅力であることは間違いありませんが、歌詞と楽曲の魅力を伝えるという意味で、今回は敢えて私の解釈と捉え方を交えてご紹介しますので、この文章を通じて省吾さんの楽曲と世界観に興味を持ってくれる方が増えると嬉しいです。

歌詞概要

https://www.uta-net.com/song/6640/

君が人生の時」では、人生には浮き沈みや紆余曲折があり、それらに対して時間はただ平等に過ぎ去ることと、その時間の経過と共に削られ失われてゆく夢について語られます。

時を「旅人」に喩え、何も為さなくともただ平等に過ぎ去って戻らない、人生という時の流れを表す歌詞は聴く人の心に深く響く、とても印象的な部分です。

良いことも悪いことも、喜びも悲しみもあるけれど、昨日、今日、明日と人生を紡いで、思い通りにいかないことも受け入れながら進むことが人生。

そう言われているような気がすると同時に、理想とかけ離れたり予期せぬトラブルが起こる生活の中で、明日を見て今を生きていくことが人生であり、人生とは正にその積み重ねでしかないという事実に改めて気付かされます。

どんな人生であっても、何が起ころうとも、自分の人生は唯一無二のものであり、痛みも苦しみも喜びも同様に受け入れ、抱きしめながら生きていくしかない。

そして、それこそが唯一無二の自分の人生を生きることだと気付かされ、考えさせられます。

時に追い風、時に向かい風に遭いながら、常に自分自身の人生の目標を定め生きてゆく。

それは自分の大切にする理想と向き合いながら進むことであり、他人と必ずしも共有し分かち合えるものではない。

その意味において、人間一人ひとりが本来寂しく孤独な存在であることが示唆されている歌詞のメッセージ性が魅力です。

相手が自分を愛してくれるかどうか、また与えた愛に応えてくれるかは分からない。

だからこそ自分にできることは傷ついてもまた立ち直ってを繰り返しながら愛し続けることであり、叶わない夢と満たされない愛を抱えながらも人生を歩んでいくしかない、というメッセージであり、今できることをやり、今を必死に生きることが人生だと、そう思わせてくれます。

他者への愛/他者からの愛とそれに対する自覚については「悲しみは雪のように」でも触れられているテーマであり、愛情に気づくことは難しく、それでも愛してくれる人がいるというメッセージを伝えている名曲となっています。

仮に人生が思い通りにいかず辛く苦しい思いをしていても、自分の人生を投げ出すべきではない。

上手くいくことや幸せと同様に、辛い時間も人生の一部であり、その瞬間瞬間の積み重ねが明るく素晴らしい未来の人生へと繋がっている。

そのような明るく前向きなメッセージも感じられる歌詞が、自分のこれまでの人生とこれからの人生に思いを馳せるきっかけとなる名曲です。

歌詞の魅力考察

君が人生の時」の歌詞は個人的にとても好きで、過去は変えられず未来には干渉できない中で、今生きているこの瞬間の積み重ねが人生を作ることをメッセージとして伝えている点が魅力だと考えています。

私にとって、1979年時点でこれだけの味わい深い歌詞とメッセージを持つ名曲を生み出しており、今も尚現役の省吾さんはやはり圧倒的であり、人生を通して聴き続けるべきアーティストとして稀有な存在だと考えています。

冒頭でも書いた通り、聴き手によって様々な解釈ができ異なる意味合いを持つことは勿論ですが、同時に人生のステージやそれまでの自分自身の経験によっても大きく意味合いが異なる点も魅力です。

省吾さんが意図して盛り込んだメッセージ以外にも、聴き手に何通りもの解釈の余地がある為、人生の応援歌として長い時間を共にすることができる名曲です。

今までこの楽曲を好きだった方だけでなく、これから聴く方も是非人生を通じて変化する意味合いやメッセージを感じながら、長く聴いてもらえれば嬉しいです。

また、省吾さんの楽曲において人生をテーマとした名曲として、ファーストアルバム「生まれたところを遠く離れて」に収録されている「とらわれの貧しい心で」も深いメッセージと洞察に溢れている傑作ですので、良ければ以下記事を読んで実際に聴いて頂けると嬉しいです。

こんなシーンで聴いて欲しい

「君が人生の時」は、特に自分自身と向き合いたい時や人生について悩んでいる時に歌詞やメロディを味わいながら聴きたい楽曲です。

きっとそれまで見えていなかったものや、見落としていた大切なものの存在に気づかせてくれることと思います。

一方で、多くの深いメッセージを持つだけに、やはり省吾さんの優しく心地よい歌声との相性も素晴らしく、ライブコンサートで実際の歌声と演奏と共に聴いて欲しい楽曲でもあります。

実際にコンサートで歌われることはあまり多くはありませんが、2018年から開始したファンクラブ限定コンサートにて歌われており、その時の音源を収録したCD/Blu-rayが発売されていますので、是非聴いて頂きたいです。

きっと色褪せず深みを増した歌声と、より深く響くメッセージを感じてもらえると思います。

また、コンサートで聴いて欲しい名曲と名曲バラードに関しては以下エントリにまとめていますので、よければ合わせてご一読下さい。

最後に

最後までお読み下さりありがとうございます。

多くの意味や解釈を感じることのできる名曲「君が人生の時」について、その魅力を感じてもらえていると嬉しいです。

省吾さんの多くの曲がそうであるように、多彩な解釈ができ人生を共にできる楽曲であり、自分なりのメッセージを見出すことのできる深さが魅力ですので、是非実際に聴いて自分なりの意味合いや魅力を見つけて頂けると嬉しいです。

最後に、収録アルバムをご紹介しますので、気になった方は是非一度聴いてみて下さい。

ABOUT ME
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胎教の時から浜田省吾を聴き続け、サングラスをかけて生まれた28歳。省吾さんの魅力を伝えるべくブログ執筆中。
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