歌の魅力・歌詞考察

MIDNIGHT FLIGHT ひとりぼっちのクリスマスイブ 歌詞の意味・魅力考察 浜田省吾

tsumakawa

MIDNIGHT FLIGHT ひとりぼっちのクリスマスイブ

MIDNIGHT FLIGHT ひとりぼっちのクリスマスイブ」は、1985年発売のウィンター・ソングのみで構成された省吾さん初の企画アルバム「CLUB SNOWBOUND」に収録され、その後30代の恋愛をテーマとしたセルフカバーアルバム「Wasted Tears」にて再録、1998年から2001年まで世紀を跨いで行われた「ON THE ROAD 2001」のDVD初回限定版やベスト盤にも収録されるなど、ファンからの根強い人気のある名曲です。

東京を離れる恋人と、結婚を意識しながらも引き留めることができずに葛藤し思いを巡らせる主人公の切ないラブソングとなっています。

省吾さんで冬といえば「悲しみは雪のように」が真っ先に思い浮かびますが、この「MIDNIGHT FLIGHT」も省吾さんを代表する冬の名曲であり、胸に響くクリスマスソングとなっています。

省吾さんのラブソングに特徴的なセンチメンタルな内容でありながら、歌詞に盛り込まれたストーリーと心理描写から、自分にとっての大切なものや大切な人と過ごす時間を大切にしよう、そう思わせてくれる点が魅力です。

歌詞概要

https://www.uta-net.com/song/4356/

MIDNIGHT FLIGHT ひとりぼっちのクリスマスイブ」では、飛行機に乗って旅立つ彼女を空港まで見送った主人公が、彼女を引き止めなかったことを後悔するシーンからストーリーは始まります。

夜に空港の駐車場で一人、遠ざかってゆく飛行機を見ながら、彼女を引き留めないという決断をした自分自身の判断について振り返り、あり得たかも知れない幸せな未来に思いを馳せる主人公の姿が思い浮かびます。

彼女が側にいることが当たり前になりすぎて、去ってしまった事実に対して現実味のないまま途方に暮れる主人公。

その姿から、自分なりに彼女を想ってそれまでの日々を過ごしてきたであろうことが伺えます。

恋人との別れや関係性の終わりは突如訪れるものであり、残される側がその原因を知る術もないケースは現実世界でもよくあります。

すれ違い続けていても、破綻が来るまではそこに気が付かずに日々を過ごしてしまうことも往々にしてあり、この別れもそうした葛藤や迷いが相手側に蓄積された結果なのかもしれません。

場面は変わり、恋人を置いてニューヨークへと旅立つ彼女へと視点は切り替わります。

彼女が、自分が逢いたい時にだけ連絡をよこし、ただただ隣にいる時間を過ごすだけの恋人との関係性に疲れ、孤独を感じていたことが明かされます。

その孤独を紛らわすため、妹のいるニューヨークへと旅立つという目的が描写されますが、彼女が「ひとりきり」と言うように、恋人との生活は自分の孤独や寂しさを埋めてくれるものではなかったようです。

日々を生きる中で、失ってからでは遅いことを頭と心で理解し、目の前にいる相手を大切にし、共に時間を過ごすことは中々難しいことです。

相手が身近な存在であればある程そこには甘えや気の緩みが生じますし、つい優先順位を下げてしまうこともありますが、本当に大切にすべきものは何か、今一度見つめ直したくなる歌詞です。

私自身、身近な人ほどその存在に感謝し、感謝や愛を伝えることが重要であることをこの楽曲を通して気付かされました。

愛には形がないからこそ、それを表現するために愛情表現を尽くすべきであり、例えば「言わなくても伝わる」という態度で、気恥ずかしさや愛情に応えてもらえないリスクと、そこに対する恐怖を誤魔化すべきではない、そう思わせてくれる説得力があります。

相手の愛情が見えないからこそ慢心したり不安になるという点は、恋愛において必然的な葛藤であるように思います。

また、省吾さんのラブソングにおいて「丘の上の愛」や「陽のあたる場所」に代表されるように、「愛の形」は普遍的なテーマとして歌詞の中に盛り込まれています。

省吾さんは歌詞に込めたメッセージを通じ、愛情という不確かなものを確認する術は相手との関係性の中にしかない、という事実を聴き手に伝えているように感じます。

雪の降り頻る中、愛する人の元へと向かう人々と主人公の対比から、主人公の寂しさや喪失感がより一層伝わってきます。

ポケットの中には、クリスマスにプロポーズをしようと用意した指輪が入っています。

結婚を意識しながらも、旅立つ恋人を引き止めなかった主人公には、自分の想いよりも相手の願いを尊重する、そんな恋人への本当の意味での愛情や優しさがあったのかも知れません。

ただその一方で、その愛情や優しさを表現し、自分を大切にしていると目に見える形で表して欲しかったと願う恋人の想いも想像できます。

多くの失恋や葛藤を経て本当に大切なものや愛する人の存在に気づくようになる、というメッセージは「MIDNIGHT FLIGHT」から「青空のゆくえ」や「初秋」における人生観や恋愛観と通じるものがあり、省吾さんのラブソング共通のメッセージでもあります。

歌詞の魅力考察

MIDNIGHT FLIGHT」は、恋人を引き留められなかった主人公の歌でありながら、孤独を埋められなかった恋人の歌でもあります。

なぜ別れを選んだのか、なぜ想いを言い出し引き留めなかったのか、それらは互いに明かされる事はなく、答え合わせができないままそれぞれの人生が続いてゆきます。

誰しも生きていく中で少なからず失恋や失敗の経験はあり、ハッピーエンドから失恋をテーマにしたものまで世の中にラブソングも数多くあります。

その中で、省吾さんのラブソングは失恋や喪失をテーマにしたものが多く、総じて聴く人の心に大きく響きます。

特に、自分自身が失恋をした経験がある場合や、その失恋のショックや傷跡が大きいほど胸に深く沁み入ります。

それは一重に省吾さんの紡ぐ言葉の中に普遍的な真実や感情の動きがあるからであり、聴くたびに自分にとって大切な意味を持つ楽曲になっていき、自分の人生と交わる気づきや感銘を受けるのはそのためだと考えています。

最後に

ここまでお読み下さりありがとうございます。

MIDNIGHT FLIGHT」は決して一般的な知名度のある楽曲ではありませんが、個人的にとても好きな楽曲であり、省吾さんを語る上で外せない名曲です。

センチメンタルなラブソングでありながら、聴き終わった後に自分の愛する人との時間を大切にしたいと思える点が魅力です。

以下に、主な収録アルバムをご紹介していますので、よければ是非一度聴いてみて下さい。

MIDNIGHT FLIGHT」を含むオススメバラードは以下でご紹介していますので、よければ合わせてご一読下さい。

ABOUT ME
tsumakawa
tsumakawa
胎教の時から浜田省吾を聴き続け、サングラスをかけて生まれた28歳。省吾さんの魅力を伝えるべくブログ執筆中。
記事URLをコピーしました