夢のつづき 歌詞の意味・魅力考察 浜田省吾
夢のつづき
「夢のつづき」は、2015年1月14日に発売された浜田省吾3枚目のミニアルバム「Dream Catcher」および17枚目のアルバム「Journey of a Songwriter 〜 旅するソングライター」に収録されている楽曲です。
2005年発売のアルバム「My First Love」から10年振りの書き下ろし新曲であり、省吾さんの楽曲としては初の映画主題歌としても有名です。
かつてアルバム「My First Love」における「I am a father」で守るべき対象だった子供達がそれぞれ大きく成長し、自分の人生を歩み始め、家族を支え続けた主人公もまたかつて夢見た夢や人生の続きを歩み始める、そんな内容となっており、親・子供それぞれの視点から異なるメッセージを感じられます。
歌詞のストーリーから、家族愛と省吾さんのこれまでの楽曲やメッセージとの繋がり、優しさが伝わってくる名曲です。
アゲイン 28年目の甲子園
人気作家・重松清が、元高校球児たちが再び甲子園を目指す”マスターズ甲子園”をテーマに綴った同名小説を、中井貴一主演で映画化した感動ドラマ。28年前に甲子園出場の夢を奪われた男たちが、それぞれのわだかまりや葛藤と向き合い、苦い青春の思い出に決着を付ける姿を描く。
https://www.toei.co.jp/movie/details/1204600_951.html
「マスターズ甲子園」とは、高校野球部のOB/OGが、世代や甲子園出場経験の有無や経歴に関係なく出身校別にチームを結成し、甲子園を再び目指す大会です。
省吾さんは野球・メジャーリーグの大ファンであり、マスターズ甲子園のテーマソングとして「光と影の季節」「I am a Father」を提供しています。
そんなマスターズ甲子園をテーマとする「アゲイン 28年目の甲子園」は、野球を通じた友情、家族愛、後悔、葛藤をテーマとしており、胸に響く映画となっています。
また、主題歌である「夢のつづき」の歌詞とメッセージも映画の内容とマッチしており、是非とも映画と共に聴いてほしい名曲です。
歌詞概要
https://www.uta-net.com/song/177723/
「夢のつづき」は、子供とキャッチボールをする父親が、日々早くなる球速と大きくなる身長からその成長を感じる姿から歌詞は始まります。
いつまでも子供だと思っていた子供がいつの間にか大きくなり、親として心配と信頼が入り混じる感情を抱えていることが伺えます。
子供を心配しながらも、成長し家を出る息子の人生を想う姿、成長した娘と妻の姿が重なって見え、どこか寂しさと嬉しさを感じている描写から、父親の愛情と心配が感じられます。
娘を持つ父親として、いつか娘を送り出す日が来る事を寂しく想いながらも、その成長を喜ばしく思う。
そんな葛藤と誇らしさを感じる歌詞が魅力です。
多くの葛藤や心配はありつつも、成長し明るく希望に満ちた未来へと歩み出す娘の幸せを祈る父親の視点を通じて、夢を追い求め成長することが人生であり、あっという間に過ぎ去っていく時の中で、何を目指し生きるかということを投げかけているようにも感じられます。
親として子供達の成長と夢を見守り、心配しながらもその歩みを後押しし送り出した後、夫婦の間に穏やかな時間が流れ出します。
家事や育児に追われた慌ただしく充実した生活から一転、再び夫婦としての人生を生きる時間が訪れ、かつての夢とやり残したことを追い求める、そんな「夢のつづき」を生きようとする主人公の姿が描かれます。
歌詞の魅力考察
「夢のつづき」は、子供達を立派に一人前に育てあげた主人公が、妻と共にかつて持っていた夢や目標を再び追い求める、そんな事を予感させるストーリーとなっています。
子どもを持ち親として懸命に生き、家族を支えた主人公ですが、子育ての最中ではどうしても子供が中心の生活になり、自分の夢など忘れてしまうこともあります。
家族という、自分の思い描いていた人生や目標よりも優先すべき大切な存在ができることはとても幸せなことですが、子供達がそれぞれの夢や目標を見つけ、自分の足で歩き出した時、親は再び自分自身の人生をこれまた自分自身の足で歩み始める、そんなメッセージがこの「夢のつづき」には込められています。
「夢のつづき」とは、これから続く子供達の夢のことであり、同時にそんな子供だった自分がかつて夢見ていた目標を再び追い求める、そんな物語でもあります。
いつの間にか大切なものが増え、主語が自分から夫婦、そして家族へと移り変わる。
それが親としての1つの幸せの形であり、生き甲斐にもなります。
そんな「家族」をテーマとする一方、若い頃に妻とコーヒーを片手に語り合ったような他愛もない夢を、時が経った今でも2人で追い求めることができる、そんな夫婦でありたい、そう感じさせる「夫婦」をテーマとした楽曲であります。
歌詞の中で出てくる「陽のあふれる場所」とは、省吾さんの名曲である「陽のあたる場所」そしてスティービーワンダーの「A Place in the sun」との繋がりを感じられる歌詞であり、人生において自分らしく安らげる場所、陽があたる暖かく穏やかな場所を見つけたい、そんなメッセージを感じられるメッセージが魅力です。
また、冒頭でご紹介している「夢のつづき」が収録されているミニアルバム「Dream Catcher」には、映画「アゲイン 28年目の甲子園」のテーマに沿う楽曲として「君が人生の時」が収録されています。
「君が人生の時」とは、過去は変えられず未来には干渉できない中で、今生きているこの瞬間の積み重ねが人生を作る、というメッセージを伝える名曲です。
それは、過去の後悔や夢と向き合い葛藤し乗り越えてゆく「アゲイン 28年目の甲子園」のストーリーに寄りようなテーマであり、同時に自分自身そして愛する家族の人生と夢を主題とする「夢のつづき」にも繋がるメッセージでもあります。
1979年発表の楽曲でありながら、省吾さんの人生に対する深い洞察と優しさを感じられる名曲ですので、是非一度聴いてみてください。
最後に
最後までお読み下さりありがとうございます。
家族そして人生をテーマとする名曲である「夢のつづき」についてその魅力をご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。
優しい歌声と歌詞のメッセージが心に沁みる点は勿論ですが、興味を持って頂けた方はぜひ「夢のつづき」が主題歌である映画「アゲイン 28年目の甲子園」も合わせてご覧になり、映画のストーリーと楽曲の世界により一層浸っていただければ嬉しいです。
「夢のつづき」や「君が人生の時」以外にも、省吾さんの楽曲の中で人生をテーマとする名曲や心に響く歌詞は数多くあり、その一部を以下記事にて魅力をご紹介していますので、良ければ合わせてご一読下さい。