歌の魅力・歌詞考察

NEW YEAR’S EVE 歌詞の意味・魅力考察 浜田省吾

tsumakawa

NEW YEAR’S EVE

NEW YEAR’S EVE」は、1988年3月に発売された省吾さん11枚目のアルバム「FATHER’S SON」8曲目に収録されている楽曲であり、共に暮らした男女の別れをテーマとしています。

アルバム「FATHER’S SON」は、省吾さんが30代半ばに入り、「いつまでも若者の歌は歌えない。アーティストが成長していくようにリスナー共に成長してほしい」との想いから「日本とアメリカ」「戦争と戦後」「恋愛と葛藤」をテーマとした楽曲が多く収録されています。

NEW YEAR’S EVE」は、他にも2003年5月発売のセルフカバー・バラードセレクションの4作目であり、40代以上の大人を主人公とするバラードを集めたアルバム「初秋」6曲目に収録されるなど、省吾さんのラブソングの中でも人気のある名曲となっています。

歌詞概要

https://www.uta-net.com/song/24157/

最終電車の前で別れる男女から「NEW YEAR’S EVE」の歌詞は始まります。

決して短くない期間を家族として共に過ごし、別れを選択した今でも互いに対する情や子供への愛が残っていることが伺えます。

この冒頭の歌詞は、別れを惜しむ女性に最終電車に乗るように促す男性視点の想いのように聴こえる一方で、離れたくないと言う男性側に女性が「もう行かないといけない」と諭しているようにも聴こえます。

どのような形であっても、別れは互いに辛いものであり、避けられない場合もある。

そんなことを考えさせられる深みのある歌詞となっています。

辛いことや折り合いのつかないことが重なり別れを選択することになってた今でも、その最中にあった幸せな瞬間だけは心に留めておきたい。

男性のそんな想いが感じられます。

どちらが悪いわけでもなく、謝罪も愛の言葉も要らない。

時と共に2人の関係性が変わり、別れの他に答えを出せなかっただけであり、特別なきっかけや決定打となる出来事があったわけではない。

それは2人がたどり着いた自然な結論であり、だからこそ避けようのない必然でもある。

少年少女の頃のように、好きと言うだけで一緒になれると夢見ていた頃を過ぎ、別れることが互いの幸せへの第一歩となることもある。

そんな、様々な想いや背景が交錯する現実の恋愛と愛情の形を、リアルに表現している歌詞が魅力です。

別れる決断をするまでの間、互いに2人の最適な距離感や生きる道を探したことが示唆されています。

その結果、別れることになった現在においても、共に生きることを願う彼女の涙を思い浮かべる主人公からは、彼女への想いが残っているらしいことが読み取れます。

しかし、それは綺麗な思い出としての想いであり、再び2人で同じ人生を歩むことはできないことをそれまでの2人の関係から理解している。

そんな心情であるように感じられます。

2人の間に決定的な行き違いやどうすることもできない溝があったのか、他に愛する相手と出会ってしまったのか、理由はわかりませんが、別れを選択した2人と、妻と子供の未来と幸福を想い送り出す男性の姿から、哀しさと暖かさを感じます。

歌詞の魅力考察

NEW YEAR’S EVE」は、男女どちらからの視点とも取れる深みのある歌詞と、2人の関係性の終わりをテーマとするラブソング/バラードである点、深く優しい声が合う歌詞がなんとも省吾さんらしい名曲です。

しかしながら、上記のように、個人的には男性を主人公とし、自分の元を去る女性を想う心境を表現した歌詞だと考えています。

一見するとセンチメンタルな別れテーマとする名曲「MIDNIGHT FLIGHT」のように、男女両方の視点から紡がれるストーリーのようにも思えますが、全体を通して女性への想いが吐露されており、見送る男性側の歌であることが伺えます。

そして、哀しい別れをテーマとしながらも歌の中にどこか暖かみがあるのは、そうした相手を想う心情が歌詞に織り込まれているからだと思います。

愛情の有無に関わらずいつか別れはやって来て、避けられない痛みを伴うこともある、という内容は「青空のゆくえ」や「初秋」と共通するものがあります。

青空のゆくえ」は多くの出会いと別れを経験した主人公がそれでも愛へと踏み出す内容であり、「NEW YEAR’S EVE」は多くの葛藤と思案の末に二人の幸福のために別れを選ぶ二人をテーマとしています。

この「NEW YEAR’S EVE」のような様々な別れを経験し、いつか別れが来ることを心のどこかで覚悟しながらも、共に過ごす時間を大切に人生を生きるというメッセージをもつのが収録アルバムのタイトル曲でもある「初秋」であり、その別れの瞬間の辛さを知りながらも恋に落ち愛に踏み出すことをテーマとするのが「青空のゆくえ」です。

人が生きる中で多くの経験をし辿り着く、ある種運命論的とも言える諦めから出発し、それでもそれぞれの幸福を見据えて一歩踏み出すと言う点では、共通しているように思えます。

その踏み出す先が別れなのか、出会いなのか、共に生きる人生なのか、それは楽曲によって異なりますが、「いつか訪れる終わりの時」から目を逸らさず、綺麗事だけではない歌詞とストーリーに落とし込んでいる点が省吾さんの楽曲の独自性であり、大きな魅力と言える部分です。

最後に

ここまで読んで頂きありがとうございます。さ

色々と個人的な考えを述べましたが、最終的にこの「NEW YEAR’S EVE」の魅力は、聴き手の人生経験や年齢によって多くの解釈ができる点だと考えています。

ある人によっては不倫をテーマとする歌詞のように感じ、またある人によっては性格の不一致による別れの歌だと感じる。

そして、そのどれもが正解であり、自分の中でその歌と意味を大切に育てていけばいいのだと思います。

私は、それこそが省吾さんの歌詞が多くの人の心に深く響く所以であり、先に述べたリアリティのある歌詞とストーリーと並ぶ、大きな魅力の一つだと考えています。

タイトルの「NEW YEAR’S EVE」についても、単純にこの物語が大晦日の出来事という考え方もできますし、2人の夫婦としての関係性の終わりと新たな人生の始まりを指す、1つの時代の節目と言う意味にも解釈することができ、様々な意味が込められていることが伺えます。

今後も、そんな魅力溢れる省吾さんの歌詞の世界を少しでも皆様に届け、その魅力を知って頂ければと考えています。

最後に、今回取り上げたアルバムをご紹介し終わりにしたいと思います。

どれも名盤となっていますので、気になった方は是非聴いてみて下さい。

ABOUT ME
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胎教の時から浜田省吾を聴き続け、サングラスをかけて生まれた28歳。省吾さんの魅力を伝えるべくブログ執筆中。
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