歌の魅力・歌詞考察

ラストショー 歌詞の意味・魅力考察 浜田省吾

tsumakawa

ラストショー

ラストショー」は、1981年に発売された省吾さん13曲目のシングルで、同年に発売された7枚目のアルバム「愛の世代の前に」7曲目に収録されています。

ファンの間での人気はかなり高く、コンサートでも終盤に歌われることの多い名曲です。

恋愛と失恋をテーマとしており、情景が目に浮かぶような歌詞とまるで映画のようなそのストーリーが魅力です。

歌詞の内容や演奏や言葉選びの一つ一つに省吾さんらしさが詰まっており、省吾さんを語る上では外せない一曲です。

歌詞概要

https://www.uta-net.com/song/4796/

かつて別れた恋人との思い出をなぞりながら車を走らせる主人公の姿から「ラストショー」は始まります。

ラブソングでありながら、別れをテーマとしており、映画のようなストーリーと情景が目の前に浮かぶような歌詞は正に省吾さんならではであり、省吾さんの歌の魅力が詰まっています。

車を持っておらず、彼女の実家の車でドライブへ出かける2人。

目的など無くとも、2人で過ごす時間があればそれでいい、一緒にいるだけで満たされている、そんな幸せな2人の姿が浮かびます。

そして、海辺で朝まで共にで過ごす2人。

そんな時、カーラジオから「Like A Rolling Stone」が流れます。

恐らく、その瞬間に聴いていたというよりも、主人公にとって恋人と幸せな時間を過ごしていたその時期によく聴いていた、その時期を象徴する楽曲なのだと思います。

曲を聴く度に彼女のことを思い出すような、そんな曲なのでしょう。

この「Like A Rolling Stone」はアメリカのシンガーソングライター ボブ・ディランが1965年にリリースした楽曲です。

省吾さんも大きく影響を受けたと話しており、ボブ・ディラン最大のヒット曲であり、ロック史に残る名曲と呼ばれているのが「Like A Rolling Stone」です。

「Like A Rolling Stone」は多くの解釈ができる楽曲であり、転がる石のように裕福な生活から転落した女性の歌にも感じられる一方で、失うものも無くし、後は這い上がるだけ、というメッセージを伝えているようにも受け取ることができます。

全てが移ろう社会の中で、地位も人との関係も何もかも移り変わっていくという点は、「ラストショー」での恋愛と別れというテーマにも通じる部分があります。

2人が恋人として最も明るく輝いていた瞬間を月と星に喩える歌詞の言い回しや言葉遣いに省吾さんらしさと魅力が詰まっており、惹きこまれる歌詞となっています。

二人が最も輝いていた瞬間、まるで世界が自分達を中心に回っていて、物語の主人公になったように思える。

それでも、共に過ごすうちに徐々に苛立ちや怒りといった感情が見え隠れし、二人の関係性に綻びが見えてきたことが示唆されます。

夢の中で生きてゆくことを問う彼女に恋の終わりを感じる主人公。

きっかけがあったのか、何が原因だったのかは分かりませんが、いつも車で海まで走っていた二人は、いつの間にかすれ違い、別々の未来を見据えて孤独に歩みを進めようとしていることが病死されます。

二人の物語は終わり、一人車を走らせる主人公。

別れを引きずっているのか、時折思い出がフラッシュバックし、どこかに彼女の面影を探しています。

恋人が去った現実を受け入れ、乗り越え忘れ去るために、過ぎ去った過去の記憶をなぞり自分の気持ちと折り合いをつけようとしているように感じられます。

降り出した雨の中、拭いきれない恋人との記憶を辿っても、あるのは一人きりの現実。

恋人の去ったこれからの未来に希望を見出せないのか、ひどく落ち込んでいるように見えます。

それでも、主人公は一人別れを呟き、この「ラストショー」は幕を閉じます。

歌詞の魅力考察

ラストショー」は、歌詞の内容やストーリー、言葉選びなど随所に省吾さんらしさが詰まっており、個人的にとても好きな楽曲であり、省吾さんファンにもそうでない方にも一度は聴いてほしい名曲です。

失恋の痛手は、それを経験した誰もが通る道でありながら、世界で自分だけが苦しんでいるように感じられ、その痛みはどうやっても忘れ去ることができないくらい深く重いものです。

どれだけ失恋の痛手から立ち直ろうとしても、胸の奥の痛みは絶えず、幸せだった頃の記憶は絶え間なく浮かび、いつもどこかにその姿を探している。

そうして、恋人との幸せな記憶と一人になってしまった現実を行き来し、過ぎ去った過去が戻らないことと、目の前に孤独な現実があることを繰り返し繰り返し認識し、徐々に現実を受け入れ失恋の痛みを乗り越えていくのだと思います。

誰もが胸に抱えたことのある痛みと立ち直るまでの苦しさを、車を走らせる主人公のストーリーと重ね合わせて歌詞に落とし込み、一般の映画のようにまとめ上げているこの「ラストショー」は、失恋を経験した誰もが共感し深く心に刺さる部分があるのではないかと思います。

フィクションであるストーリーの中に、人の心の機微や感情とその動きが詰まっており、何度でも聴きたくなります。

また、失恋の痛みをテーマとした楽曲として「MIDNIGHT FLIGHT」も個人的にかなりオススメの名曲ですので、省吾さんの映画のような歌詞に浸りたい方は是非以下の記事を読んで実際に楽曲を聴いていただければと思います。

最後に

最後までお読み下さりありがとうございます。

ラストショー」は、個人的にとても大好きな曲であるため、その魅力や世界観が少しでも多くの方に伝わっていると嬉しいです。

歌詞に出てくる主人公のように、ドライブをしながら一人歌詞に浸って聴いても良いですし、コンサートで会場と一体になって聴くのもおすすめです。

以下に収録アルバムをご紹介していますので、気になった方は是非一度聴いてみてください。

この「ラストショー」のように、特にコンサートで聴いてほしい名曲については以下記事にまとめていますので、よければ合わせてご覧ください。

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胎教の時から浜田省吾を聴き続け、サングラスをかけて生まれた28歳。省吾さんの魅力を伝えるべくブログ執筆中。
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