とらわれの貧しい心で 歌詞の意味・魅力考察 浜田省吾
とらわれの貧しい心で
「とらわれの貧しい心で」は、1976年に発売された省吾さんのファーストアルバム「生まれたところを遠く離れて」のラストに収録されている楽曲です。
省吾さんを語る上では外せない原点であり、省吾さんらしさが詰まった歌詞が魅力の名曲です。
メッセージ性を全面に押し出した内容であり、聴く人の心に深く語りかけてくる歌詞は何度でも聴きたくなります。
バンド愛奴を脱退し、ソロアーティストとして歩み始めた省吾さん自身をテーマに歌っているとも解釈できる歌詞であり、発表から40年以上経った今でもファンの間で聴き続けられ、愛されています。
歌詞概要
https://www.uta-net.com/song/48978/
アルバイトや仕事、或いは日々の生活で疲れ果てた帰り道、色々な想いや考えが浮かんでは消えてゆきます。
そんな中にあって思い起こすのは、自分の心の支えである愛する人の存在であり、たとえささやかであってもその人との暮らしを守るために日々を生きる、そんな人間の姿が思い浮かびます。
家庭を持つ父親であれば自分の家族や子供、若者であれば恋人やパートナー、それぞれの大切な人とその生活の為に人は日々を懸命に生きている、「とらわれの貧しい心で」からはそんなメッセージを感じます。
誰もが悩みや憂いを持って生きている。
人を騙す側も騙される側も誰しもが何かに怯え、向かう場所や目標を持でずに彷徨っている。
そんな中にあって、何を信じ拠り所として生きていくべきなのか。
そういった迷いを表しているように思あ、誰もが悲しみを抱いており、明るい未来を思い描けずに迷い苦しんでいる、というメッセージは、省吾さんを代表する名曲「悲しみは雪のように」や「J.BOY」と通じる部分があり、省吾さんの歌詞の原点とも言える部分が垣間見えます。
成功や他人の価値観にとらわれ、自分自身の生きる軸や目標を持てずにいる人は、自分にとっての大切なものに気付かず、人を傷つけてしまう。
それは、自分自身に余裕が無いからかもしれませんし、身近にいる大切な人の存在に気付いてないからかもしれません。
アルバム「ON THE ROAD」に収録されている「陽のあたる場所」の中で省吾さんが語っているメッセージにもありますが、人は本当に大切なものや欲しかったものに出会った時、そこからは遠く離れていることがある、ということなのだと思います。
自分にとっての大切なことに気づかず、目の前の物事や見かけにとらわれ真実を見失ってしまう。
そういった状況を憂いている歌詞は人間にとって普遍的な問題であり、誰もが陥りがちなことであるだけに聴く人の心に響きます。
大切なものや大事にすべき真実を見失い、見せかけや他人の価値観に惑わされ歩むべき道を見失ってしまう。
それは人間全般に言えることであり、集団や国家も例外ではありません。
自分達の利益、自分達の世代の幸福を追い求めるあまり、その先にある人の生活や子供達の未来を犠牲にしている。
このメッセージは昨今の環境問題や戦争、経済に関する問題全てに通底することであり、今正に人類が直面している課題でもあります。
1970年代という時代において、20代の若さでそのメッセージを歌詞に落とし込み世間に投げかけ、その楽曲が今も変わらぬメッセージ性を伴って聴き続けられている点に省吾さんの洞察力と先見性を感じます。
ロックにしてもラブソングにしても、省吾さんの歌詞が聴く人の心に響くのは、そこに普遍的な真実が含まれているからであり、誰しもが抱える葛藤や憂いが表現されている点がその一つの魅力だと考えています。
歌詞の魅力考察
「とらわれの貧しい心で」は、省吾さんのルーツであり一つの到達点とも言える名曲です。
歌詞の中に含まれているメッセージは時を経ても尚色褪せることなく聴く人の心に多くのことを訴えかけ、想起させます。
個人的には、ファーストアルバムである「生まれたところを遠く離れて」から時が経った2010年に発売された「The Best of Shogo Hamada vol.3 The Last Weekend」に収録されているver.がとても好きです。
キャリアを重ね、より深みの増した歌声で歌われる「とらわれの貧しい心で」は落ち着いた雰囲気でありながら、力強い意志のようなものを感じる仕上がりであり、世代や年代問わず聴いてほしい楽曲となっています。
最後に
最後までお読みくださりありがとうございます。
「とらわれの貧しい心で」は個人的にとても好きな楽曲であるため、是非とも皆さんにも知って頂きたいと思い今回その魅力をまとめました。
省吾さんの原点であり、その後の省吾さんらしさが多分に詰まった名曲であるため、既にファンの方にも、これからファンになる方にもオススメです。
残念ながら省吾さんの公式YouTubeチャンネルには動画がないため、以下にアルバム情報を載せておきますので、よければ是非聴いてみてください。