アジアの風 青空 祈り part-2 青空 歌詞の意味・魅力考察 浜田省吾
アジアの風 青空 祈り part-2 青空
「アジアの風 青空 祈り」は浜田省吾17枚目のアルバム「Journey of a Songwriter 〜 旅するソングライター」14-16曲目に収録されている楽曲です。
タイトルから分かる通り「アジアの風 青空 祈り」の3曲で構成されており、クラシックの楽章に倣った構成となっています。
J-POPとしては珍しい構成で、それぞれの楽曲が異なる音楽性とメッセージを持っています。
「音楽とは個人的な祈りのようなもの」そう話す省吾さんらしさが凝縮された名曲となっており、これぞ浜田省吾だと感じたファンの方も少なくないと思います。
省吾さん自身は当初この3曲を限定盤などにのみ収録しようと考えていたそうですが、周囲の強い要望もありアルバムに収録する運びとなったそうです。
それだけ強く心に響くメッセージを持った楽曲であり、私としても多くの方に知ってほしいと考えています。
「アジアの風 青空 祈り part-2 青空」のテーマは叫びや怒りにも似た平和への想いであり、戦後や震災を乗り越え歩んできたこの国への想いと、この世界の将来に対する強い願いが表現されています。
特にこの「part-2 青空」は、名曲「僕と彼女と週末に」を彷彿とさせる人類や地球への愛を感じさせる壮大なテーマを扱う楽曲となっており、省吾さんらしい、詩的で比喩的な歌詞に込められた多くのメッセージは聴く人の心に響きます。
多くのメッセージと想いを表現しながらも軽快なロックサウンドに仕上げており、思わず聴き入ってしまいます。
繰り返す歴史から、同じ過ちを繰り返さないために学ぶ。
そういった姿勢が大切だと思わせてくれる歌詞が魅力です。
歌詞概要
https://www.uta-net.com/song/185013/
「アジアの風 青空 祈り part-2 青空」は、ロミオとジュリエットのストーリーに準えて始まる冒頭部分が印象的です。
省吾さんの歌詞や楽曲のタイトルの中には、著名な作家や文学に影響を受けたものも多くありますが、誰もが知るシェイクスピアの戯曲である「ロミオとジュリエット」を題材として盛り込んでいる点からも、多くの人に届く内容となっています。
過去の歴史に起因する憎しみ、他国や他民族に対する偏見や差別により分断される世界の現状を、引き裂かれた男女に喩え嘆いています。
1945年の原爆、そして2011年の東日本大震災を彷彿とさせる歌詞は戦後多くの困難を乗り越えてきたこの国の歴史と葛藤と苦悩を物語っており、印象的な歌詞となっています。
特にサビの部分は、説明の要らない強いメッセージが胸を打ちます。
多くの犠牲と悲しみを経て、今もこの国に生きる人間が何をすべきなのか、これからの未来に向けてどう生きるべきなのか、聴き手にそう問いかけています。
「僕と彼女と週末に」において、子供たちに歴史と葛藤を伝えることを願い、「J.BOY」において生き様を問いかけた省吾さんは、今一度日本の行く末を問いかけているように感じます。
また「アジアの風 青空 祈り part-2 青空」においては、省吾さんらしい詩的な表現と、多くの解釈ができる歌詞が魅力です。
人類が手にした科学技術とそれらを基に作られた兵器、その恩恵で成り立つ現代社会。
科学技術や社会の仕組みはうまく使えば全人類が豊かで幸せになれる一方で、目先の利益や短期的な欲望に囚われ使い方を誤ると子々孫々に至るまで計り知れない影響と負の遺産を遺すことになる。
現在の資本主義社会は人類史から見ればほんの束の間の出来事であり、繁栄を極めているように見える現状も多くのリスクや破綻の可能性を孕んでいる。
未だかつて人類が手にしたことのない技術と富を手にして未来へと歩を進める人類は、正に見えない未来へと旅をしており、本当の意味で豊かになれるようそれらを使わなからばならない、という力強いメッセージが込められています。
自らが人を導く存在であると思い上がったリーダーが、歴史や教訓から学ばず世界を間違った方向へと進め、自分の未来を切り開こうとする者達の邪魔をし足を引っ張っている。
そうした歴史と現状を憂いており、それは「詩人の鐘」で行きすぎた資本主義や物質主義に対する警鐘を鳴らしたように、平和に対するメッセージを伝えているものだと理解できます。
省吾さんの多くの楽曲がそうであるように、ストレートなメッセージを伝えつつも多くの解釈ができる点が特徴であり、1人のファンとして多くの人に聴いてほしいと感じ、1つの素晴らしい歌として、またそれを超越したメッセージとして、聴き手1人1人が感じ考えるきっかけになって欲しい、そう感じる名曲です。
歌詞の魅力考察
「アジアの風 青空 祈り part-2 青空」では、皮肉など一切なく平和や明るい未来への願いがストレートに表現されています。
歴史が示す国家や民族の悲惨な結末、そして戦争がもたらす厄災、災害による悲劇、それらを繰り返すことのないよう、人類が一丸となって乗り越え前に進めるよう、警鐘を鳴らし励ます歌でもあると考えることができます。
また、これだけの大きなメッセージを魅力的な音楽と共に歌として仕上げ、聴かせる点に省吾さんの凄みが現れており、人類愛とでも言うべきテーマをストレートな願いを込めた詩的な歌詞と軽快なロックに乗せ世に送り出すところに省吾さんらしさが表れていると、強くそう思います。
「アジアの風 青空 祈り」3部作という大作に仕上げている点も省吾さんの想いと祈りの強さを示しているように思え、省吾さんファンのみならず多くの方に聴いてほしい名曲となっています。
最後に
最後までお読み下さりありがとうございます。
「アジアの風 青空 祈り part-2 青空」は、戦争や災害など多くの困難に直面してきた日本や世界に対する省吾さんの叫びにも似た想いが込められた楽曲です。
省吾さんの特徴でもある詩的な表現と相まってそのメッセージは聴き手の心に響き、それぞれの中で異なるメッセージとなって胸を打ちます。
省吾さんのファンは勿論、これからファンになる方にも長年にわたって聴き続けて欲しいメッセージに溢れていますので、「part-1 風」「part-3 祈り」と合わせて是非聴いてみて下さい。